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福祉現場やものづくり現場、福祉関連施設やイベント等を訪問して皆さんにご紹介するページです。福祉の現場の声から、気づきやヒントを「コーディネータの視点」で汲み取り、福祉環境の改善へとつなぎます。
訪問日:2012年09月17日  訪問先:特別養護老人ホームかないばら苑

 福祉とものづくりの交流の場を作りたいという思いから始まった「Jカフェ」。記念すべき第1回は「福祉の現場を見てみよう!特別養護老人ホーム編」として麻生区栗平にある特別養護老人ホーム「かないばら苑」http://www.kanaibara.com/を訪ねることにした。

かないばら苑は、外観は普通の施設、しかし玄関にはかかしが立ってお出迎え!カゴを背負った甚平案山子は「かかしコンクール」で賞をいただいた名誉あるかかし君だとか…食堂や広間には昔、どこの家庭にもあった ような茶ダンスや整理ダンスが置いてあり、なんとも和やかな雰囲気。これらは収納だけでなく、パーテーションの役割も兼ねているという。職員には制服がなく、代わりに色とりどりのエプロンをかけている。かないばら苑は 施設を家庭に近づけるためにクループケアを行っているのだが、職員のエプロンの色がそのグループカラーとなっているそうだ。畑を作ったり、コンサートを開いたり、買い物ツアーへ出かけるなど、個人や小人数で「生活を楽しむ」ためのグループケアは、デイサービスでも行われていて、「その人らしさを支える」サービスを提供している。地域交流も盛んで、主宰する夏祭りは80名のボランティアの協力の下、囃子太鼓やフラダンス、盆踊りも行われるという本格的なもの。

そんなチャレンジ精神あふれる地域密着のかないばら苑で、917日の敬かないばら苑夏祭老の日に19名の参加者を得て、第1回のJカフェは行われた。当日は施設で敬老会のイベントがあり、川崎市の阿部市長も来訪するという忙しい中、施設長自ら私たちのために貴重な時間を割いていただき、施設内を案内、福祉現場の問題点などをお話し下さった。


 施設は建設後18年経っており、色々支障があるが、メンテナンスでは運転手さんが大活躍しているとのこと。鍵の取り付けから仕切りバーの設置、果ては防災倉庫まで造ってしまう頼もしい匠たちのお蔭で、なんとかやり繰りしていると言う。また、福祉機器の導入については、予算が少なく手を出しくいのが現状で、ついつい人海戦術でやり過ごすことが多い。特にセンサー類は、システムで導入すると何百万円にもなる。ニーズを満たすものであれば完璧なものでなくても良いのだからもっと簡素にして安く供給できるようにしてもらいたいとのこと。それでも「利用者の安全を守る」ものには出費を惜しまないそうだ。例えば転倒時に怪我をしないようお尻にパットが入ったパンツなど良い商品があれば購入したいと言う。福祉機器もガラパゴスにならないように、安全を守ることに視点を置いて開発すると良いのかもしれませんね!

今回の参加者は市内の介護服や移乗ボードメーカーの他、東京、横浜でjカフェ福祉機器開発に取り組んでいる企業がほとんだった。センサーの話になると、携帯電話を利用してブルートゥースで信号を送る機器を開発している企業もあり、施設側が大変興味を示していた。まずは福祉現場の声をものづくり現場に繋げるきっかけ作りができたのではないかという手ごたえが感じられた第1Jカフェであった。

◆コーディネーターの視点
総じて参加者はビジネスチャンスを狙っているという事が分かった。それだけ福祉産業は売りにくい業界なのだろう。施設のニーズを作り手に橋渡しするのが私たちの事業だが、売れるためのチャンネル作りの必要性も感じた。また施設のニーズを探るには施設に行くのが一番だと再認識した。そこで「Jカフェ」を今後も継続して行うこととした。
[福祉関連:麻生区]


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