かわさきJプロジェクト+(Jプロ)は川崎で福祉・機器サービスのコーディネイトをしています

自助具工房

家の中で人を呼びたい

名前:山田 太郎

一人暮らしをしております。
声が出にくくなってきて、家の中にいる時でも、人を呼ぶ事が難しくなってきました。
ヘルパーさんに来てもらっている時には、呼んだらすぐ近くに来て欲しいのですが、特に風呂掃除などをしてもらっている時は私の声が聞こえないようで、すぐに駆けつけてもらえません。
家の中で、簡単な仕組みで、ナースコールのようにヘルパーさんを呼べる機器が欲しいです。

以前エプロンタイプのナースコールシステムみたいなものを見かけた事があり、両手が空くのがメリットだと説明されました。ああいう感じのものが良いです。エプロンをヘルパーさんに着けてもらいます。

体の症状:筋ジストロフィー、電動車いすを利用

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経過報告

(1)製作者の選別

今回は、一般社団法人生活ロボット総合研究所の川村さんが担当してくださいます。

川村さんは元システムエンジニアで、現在は、訪問介護ヘルパーとグループホーム介護職員として勤務されています。介護職と技術者の両方の視点をお持ちです。
ご自身の実体験から考えられて、小規模な介護施設やご家庭向けの離床センサー&通知システムを製作されました。それがこのエプロンタイプのナースコールシステムです。今回のようなご依頼を得意とされています。

エプロンのナースコール

(2)要件定義とフィッティング

Jプロメンバーが川村さんと一緒にご依頼者のお宅にお邪魔し、改めて詳しいご要望をお伺いするとともに、普段生活されているご自宅の様子を拝見させて頂きました。
お部屋の間取りや家具の配置、また、どのようなシチュエーションで使用されるのかを確認。普段お部屋の中では電動車いすを使われ、携帯電話や学習リモコンなどを膝の上に乗せています。

当初ナースコールの呼出機は、基盤や電池を小さな箱の中に入れて、持ち歩いて頂く計画をしていました。操作性や持ちやすさを重視した箱の大きさを見極めるため、手に持ったり膝の上に置いたり、操作ボタンの押し具合を確認したり、様々なフィッティングを行いました。
しかし、使用されるシチュエーションや生活習慣を再度ご確認すると、家電製品の操作はすべて1つの学習リモコンに集約して行っていること、また、膝の上に置く物はできればこれ以上増やしたくない、というご要望があることがわかりました。

お話合いにより、以下のように要件定義を行いました。
 ・ナースコールを使うことによって、ヘルパーさんの業務の妨げにならないようにする
 ・水仕事などしていても気づくように、大きめの音と光で呼ばれていることがわかるようにする
 ・できればこれ以上手で持つ物は増やしたくない
上記をもとに、仕様を検討します。

フィッティング1

手に持ち具合や感触を確認

フィッティング2
フィッティング3

ボタンの押し具合を確認

(3)仕様の決定

以下のような仕様とし、制作に入ります。

1.普段使用している学習リモコンの空いているボタンに、現在使用していない何かの家電のリモコン信号を覚えさせる。
2.1で覚えさせたリモコン信号と同じ信号を、ナースコールシステム本体にも覚えさせる。
3.エプロンタイプの受信機には、LEDおよび音を発生させる部品を取り付ける。
4.1のボタンが押されたとき、無線通信により、エプロンのLEDを光らせ、音を鳴らす。
5.4を停止させるときは、ナースコールシステム本体の復帰ボタンを押す。

(4)部品の選定・製作

毎日使う物なのに、ただ音が鳴るだけでは味気ないですから、遊び心のあるものにしてみましょう。
山田さんは大のネコ好きだそうなので、リモコンを押したら猫が鳴くようにしてみます。

この部品を使うそうです。
http://eleshop.jp/shop/g/gB2N361/

ネコの鳴き声が出るなら、エプロンも猫のデザインにしてみましょう。
こういう感じのものにしましょうか。
http://item.rakuten.co.jp/cara-shop/10015945/

かわいくなりそうですね!
楽しみです!

(5)完成!

出来上がりました!

(6)試用

(7)改善・手直し

(8)運用テスト

(9)引き渡し

Jカフェ

さまざまな業種・立場の方が、ニーズや技術を持ちよって話しをする福祉とものづくりの情報交流の場。本当に必要とされる製品やサービスのヒントを探すことを目的としています。

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